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序章




「人生、山あり谷あり。


人生がうまくいっている時は、決して調子に乗らず、次に来るスランプに備え、しっかり蓄えをしておく。


人生がどん底な時は、その状況を冷静に受け止め、やがて訪れる上向きになる時を静かに待つ。」

誰もがわかっていることかもしれないけれど、それが僕が今までの人生の中で学んだことだ。


自分の人生を大きく変えたのは、紛れもなく2001年夏の病気だった。


「あの病気がなければ、

-自分は今どこにいたのだろう?

-自分は今何をしていたのだろう?

-自分の周りにはどんな仲間がいたのだろう?」

時々そんな事を考える。

 

病気は自分からすべてを奪い去った。健康、夢、友人、自信…

当時、僕は自分の人生をどん底までに落としたあの病気を恨んだ。

だが、今は自分の人生を素晴らしい方向に導いてくれたその病気に感謝をしている。

そんな方向に導かれたのは、20%の運と80%の自分の努力と忍耐だったと思う。


 東京ではちらほら桜が咲き始める2002年3月、自分は財布の小銭入れにお守りとして精神安定剤一錠を入れた状態で、誰も知り合いのいない厳寒のカナダに飛びたった。



病気後精神的に不安定になり、精神科にまで通い、精神安定剤を数ヶ月間服用した。


国際弁護士になって華やかな人生を送るという夢から一転、普通に生活を送ることすらできなくなってしまった自分はカナダに出発する前にこう誓った。


「カナダから帰って来る時は、病気に感謝ができるようになっていよう」と。



物語はこうしてスタートした。

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